各地の自治体が、「ふるさと納税」や「プレミアム付き地域商品券」を通じた、税収アップと地域経済活性化を目指している。ただ、紙券の場合は印刷費がかさむ上に、手数料管理や券の回収・集計など煩雑な作業が必要だ。
ふるさと納税も返礼品が現物だと、商品管理や配送手続きの手間がかかる。そうした負担や事務コスト削減のため、デジタル地域通貨によるキャッシュレス化に取り組む自治体も出てきている。しかし、自治体単独で取り組む場合、相応のイニシャルコストと運用ノウハウ、セキュリティ対策など多くの障壁があるというのが実情だ。
その点、NTTカードソリューションが提案する「おまかせeマネー」は、コード型電子マネーの発行から決済・精算、さらに利用履歴などのデータ提供までを請け負い、小規模自治体の域内キャッシュレス化の実現を強力にサポートする。
同社はもともと、テレホンカードなどプリペイドカード販売会社として設立された企業。平成14年から電子マネー事業に参入し、ネットゲームで使える「NET CASH」などを手がけてきた。今年12月（予定）から提供を本格化するおまかせeマネーには、それら既存のシステムやノウハウが活かされている。
「自社の基盤システムを地域ごとのご要望に沿ってカスタマイズできるマルチテナント化したASP型サービス※のため、低コストで導入することができます。また、加盟店はすでにご利用のスマホ端末等から専用サイトにログインするだけなので、新たな決済用端末を導入する必要もありません」と同社。
「導入時に必要な関係省庁への届け出など各種手続き、加盟店との精算業務なども当社が代行するので、導入や運用がスムーズです」。利用者はスマホやタブレットで専用サイトにログインの上、二次元コードを画面上に表示し、加盟店に提示。それを加盟店が読み取るだけで支払いが完了する。あらかじめアプリをインストールする必要がないのもポイントだ。加えて、オンラインバンクやクレジットカードでの通貨購入も現在提供を準備中だという。
ただし、スマホなどの操作が苦手な高齢者のために、コードを印刷したカードでも利用できるようにしている。
※特定のソフトウェアを、インターネットなどのネットワークを通じて提供するサービス
また、決済手数料を1.0％に抑えている点も強みの一つ。例えば、他社のデジタル地域通貨は1.5％程度、全国共通電子マネーの場合は3％前後の手数料を取るのが一般的とされているので、特に小規模店舗などにとっては嬉しいポイントといえるだろう。
同社の試算では、自治体がサービスを導入し、約1億円分の地域商品券を発行・運用した場合、紙券での運用と比較して商品券の製作および換金業務において約65％のコスト削減が期待できるという。
“お金の地産地消”などと呼ばれ、全国的に関心が高まっているデジタル地域通貨。このようなサービスの普及が、これからの地域が目指す“デジタル化”の一助になるだろう。
NTTカードソリューション
取締役ギフトサービス事業部長
宇都宮 祐子（うつのみや ゆうこ）さん
●実績のある基盤システムをマルチテナント化して活用
→安価な導入を実現
●デジタル通貨の発行に必要な各種手続きを代行
●加盟店との精算業務を代行
●利用履歴などのデータを収集し提供
→人件費削減・事業安定性の確保
既存の基盤システムを“間借り”する形式のサービスなので、導入コストが安価。さらに、電子マネーの発行から決済、精算までを豊富なノウハウを持つ同社が一元的に代行するので、運用上の安心感も大きい。
「おまかせeマネー」の実証実験に取り組む自治体を募集中。参加自治体は、スタートから12カ月間、初期費用や基本料金を特別プランで提供。なお同社は、「プレミアム商品券」「ふるさと納税の返礼」以外に、地域ボランティア活動の謝礼や、域内の旅館などを予約した観光客へのサービスポイントとして、デジタル地域通貨を活用する手法も提案している。
サービス提供元株式会社NTTカードソリューション
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