公開日:
【セミナーレポート】10の取り組みから学ぶ! 教育の質向上と働き方改革を実現させる方法【DAY2】

GIGAスクール構想第1期で、さまざまな課題が浮き彫りとなりました。中でも、教育分野におけるデジタル格差や教育の質の向上、職員の働き方改革については、解消に向けて教育現場への適切な情報提供やサポートが求められています。
本セミナーでは、こうした課題に対応するための取り組み事例や民間サービスを2日にわけてご紹介しました。
概要
■テーマ:10の取組から学ぶ!教育の質向上と働き方改革を実現させる方法
■実施日:令和7年11月28日(金)
■参加対象:無料
■申込者数:165人
教育DXの本質 ~教育データと生成AIを活かした「学びづくり」と「時間の再構築」~
第1部に登壇したのは、東京学芸大学の森本康彦教授。「校務DX」と「学びDX」の違いを明確にし、それぞれが支え合う教育DXの姿を考えるべく、現在の課題や取り組むべきDXについて話を伺いました。

【講師】
森本 康彦 氏
東京学芸大学
ICT/情報基盤センター・教授
博士(工学)。三菱電機株式会社情報技術総合研究所勤務の後、広島市立牛田中学校教諭(数学)、千葉学芸高等学校教諭(情報)、富士常葉大学准教授を経て、2009年東京学芸大学情報処理センター准教授、2017年同大学教授。2020年から現職。教育工学、特に、eポートフォリオ(学習データ)を活用した学びと評価、教育AI活用を専門とする。日本情報科教育学会・会長を務め、学校教育における情報科教育の充実および教育工学の活性化と普及に尽力している。
教育DXは「単なるデジタル化」ではない
従来の「知識を教える場」から、子どもたちが主役となり、「わかった」「できた」と言いながら自ら学び、能力やキャリアを育てていく場へと転換する。そのための変革が「教育DX」だと私は捉えています。教育DXの本質は、単なるデジタル化ではなく、子どもを主語とした学びを実現するために、時間と学びの構造を再設計することです。
この変革が進むと、先生・子ども・保護者といったステークホルダーの役割も変わりますし、校務DXのあり方も変わります。子どもたちが笑顔で主役になれるよう、伴走しながら支えていく仕組みをつくる。それが教育DXです。
教育DXを語るうえで「学びDX」と「校務DX」は同列ではないと考えています。校務DXは、学びDXを実現するための「時間を創出する仕組」といえます。
いま求められる学びを捉え直す「学びDX」
いま求められているのは、子どもたちが対話し、協働しながら学ぶことです。その中でも最も大切なのは「やってみよう」という主体性。大人でも同じで、「やろう」と思えなければ学びは動きません。主体性とは、自ら問いを持ち、判断し、選択する力なのです。
「馬を水辺に連れて行くことはできても水を飲ませることはできない」という言葉があります。まさに、先生方には、子どもたちが「よし、やろう」と思える状態をどうつくるかが問われているのです。主体性がなければ、結局は知識を教え込むスタイルに戻ってしまいかねません。
そんな主体性を支えるには、学びのコミュニティづくりが重要です。クラス、学年、学校全体の学ぶ集団をどうつくるか自体が、学びに大きく関わります。

なぜ学びにICTを活用するのか
ICT活用は、情報活用能力を育成するためでもありますが、本来の目的は、教科などでの学びそのものを促進し、資質・能力をより育成することにあります。
現行の学習指導要領でも「何を学ぶか」だけではなく、「何ができるようになるか」「どのように学ぶか」という資質・能力の育成が重視されています。知識・技能に加え、思考力・判断力・表現力等、さらに学びに向かう力・人間性等が柱になるのです。

学びを「残す」ことができる時代
これまでの授業は、頑張っても記録が残りにくく、限られた授業時間の中で教え切らなければならない感覚が強かったと思います。一方で、1人1台端末があると、学習ログや学習成果物、振り返りなどの「学習記録」を残せます。しかし、ログだけでは成長は見えません。意味づけられた記録(成果物や振り返りなど)があってはじめて成長が見えるのです。よって、成果物や振り返りを含めた学習データとして蓄積することで、子ども自身が成長を見取って次につなげられるようになります。


私は「学ぶ」とは暗記ではなく、自ら考え「気づく」ことだと捉えています。だからこそ、教育DXは単なる効率化ではなく、気づきを生み出す学びの設計そのものの変革でなければいけません。また、定着とは、自分の言葉で説明(表現)できるようになることです。表現には、書く・話す・図で描く・動作であらわす、という複数の形があります。先生には、子どもに気づきを与え、表現させ、振り返らせるファシリテーターとしての役割がより求められるのです。
主役を子どもに戻す
生成AIが出てきたことで、学びをどう守り、どう広げるかが一層問われるようになりました。例えば読書感想文についても、もしそれが「やらされる面倒な作業」になってしまっているなら、生成AIで済ませたくなる子どもを責めきれない面もあります。しかし本来、読書感想文は「本を読むこと」自体が学びであり「考えを言葉にして試行錯誤するプロセス」が学びであり「仲間と対話すること」も学びです。そのプロセスを奪うような生成AIの使い方は避けるべきです。
生成AIは、仕組みを理解すれば学びのパートナーになれます。一方で、生成AIは人間のように意味を理解して考えているわけではなく、確率的にそれらしい文章を紡ぐため、誤りを含むことがあります。私は研修で「親身で何でも答えるけれど、空気は読めず、ちょこちょこ間違える憎めないやつ」と表現しています。だからこそ、性質と限界を踏まえた活用が必要なのです。
また、文科省のガイドラインでは、学びを奪うような使い方を避けること、教師が理解した上で教育活動として位置づけることなどが示されています。生成AIを「仲間」として使うのか、「先輩・教師」として足場かけのアドバイザーにするのか。主語が子ども側にある主体的な学びの中で使うことが重要です。ただし、忘れてはいけないのは、最終的な判断は常に子ども自身が行うということです。

生成AIは「優秀な秘書」として使う
ここから校務DXの話に移ります。先生方は、本当は授業や子どもと向き合う時間を増やしたいのに、どうしても雑務に追われがちです。だから校務DXでは、生成AIを「優秀な秘書」として使う発想が有効です。ここで大事なのは、学びのための生成AI活用と、校務のための生成AI活用は別物だということです。

校務DXの目的は、単なる業務効率化ではなく、教師が子どもの学びに向き合う時間を取り戻すことであるといえます。校務での活用例としては、小テスト作成、授業アンケートの集約・分類、部活動の練習メニュー案、アンケート項目案や分析、学級だよりのたたき台、研修動画の要約、保護者面談の日程調整などが挙げられます。私は、こうした「たたき台」づくりをAIに任せ、教員は吟味や推敲、教育的判断に集中するのが良いと考えています。









文部科学省が発信している「校務DXチェックリスト」が示す通り、DXはコミュニケーションや情報共有の基盤でもあります。欠席連絡やお知らせ配信のように、ツールを入れることで朝の混乱が減り、保護者との信頼関係づくりにもつながります。
校務DXによって生まれた時間は、単なる余白ではなく、学びを深めるために再配分されるべき時間といえます。
抵抗感は「悪」ではない
中にはDXに抵抗感を持つ先生方もいます。それは自然なことですし、抵抗する先生方は子どもの学びを守りたいからこそ慎重になっている面もあります。つまり、その抵抗感は、学びを守ろうとする専門性の現れでもあるのです。だから私は、最初の一歩は小さく、学年やクラス単位で始め、成功体験を共有し、共感を広げ、心理的安全性を確保し、成果を見える化して共有することが重要だと考えています。
また、伴走型のリーダーシップという視点も大切です。子どもに伴走するのが教員であり、教員に伴走するのが管理職、学校に伴走するのが教育委員会なのです。
校務DXと学びDX、両輪で「時間の再構築」へ
繰り返しになりますが「校務DX」と「学びDX」は似て非なるものです。主語も目的も役割も異なります。校務DXにおける生成AIは「秘書」として、学びDXにおける生成AIは「学びのパートナー」として位置づける。この両者が揃って初めて、教育DXが成立します。
校務DXで生まれた時間は、先生方のゆとりとともに、子どもたちのために使える時間にしていきたい。デジタル基盤環境は、効率化がゴールではなく、学びの文化を育てるための基盤です。

校務のクラウド化は実は簡単?その方法とは?
第2部に登壇したのは、株式会社レコモットの東郷剛氏。校務DXにおける「mocochro」の特長や活用方法、導入までの流れを解説していただきました。

【講師】
東郷 剛 氏
株式会社レコモット
代表取締役CEO
国産ソフトウェアベンダでマーケティング職に従事。その後複数のベンチャー企業の立ち上げに携わり、2006年に株式会社レコモットを立ち上げる。2008年にモバイルソリューション「moconavi(モコナビ)」をリリースし、現在までにメガバンクや通信キャリアなど業界問わず1700社以上、34万ID以上の導入実績を持つ。
moconaviシリーズとは
当社商材「moconavi(モコナビ)」は「モバイルコミュニケーションナビゲーター」の略称で、技術的には大きく3つの商材をベースにしており、そこから用途別の専用商材を組み合わせて提供しています。
具体的には、①リモートデスクトップ、②クラウドゲートウェイ(moconavi本体)、③コミュニケーション系サービスの3つです。

主要サービス1:リモートデスクトップ
まず「リモートデスクトップ」は、校外から校内のPCや仮想サーバーへアクセスし、遠隔操作を可能にする仕組みです。自宅や外出先から学校内の端末を操作できるため、在宅勤務や移動中の校務対応にもつながります。
主要サービス2:クラウドゲートウェイ
「moconavi」の中核となる商材が、クラウドゲートウェイです。専用アプリケーションとクラウドゲートウェイを組み合わせた構成で、端末にも通信経路上にもデータを残さない点を大きな特長としています。これにより、どこからでも安全にクラウドサービスへアクセスできるだけでなく、校内にあるオンプレミスの校務システムも利用可能です。外部利用を前提としながら、情報漏えいや端末紛失時のリスクを抑えたいというニーズに応える設計となっています。
主要サービス3:コミュニケーション系
もう一つはコミュニケーション系のサービスです。例えば「moconavi050」では、教職員の個人携帯に業務用の050番号を付与し、業務利用分の通話料は学校へ請求する、といった運用が可能になります。加えてビジネスチャットや連絡・お知らせ機能など、業務コミュニケーションを支えるツールも提供しています。
moconaviは、モバイルアプリケーション管理(MAM)市場で7年連続No.1※の実績を持ち、導入規模は1,700社・34万IDにのぼります。もともと企業向けに展開してきたサービスであり、金融機関などセキュリティ要件の高い分野でも採用されています。
( ※2025年9月現在の概数)

moconaviのセキュリティ設計
moconaviは、スマートフォン・PC・タブレット向けの専用アプリとクラウドゲートウェイで構成されています。中核になる考え方は、アプリを「サンドボックス(隔離環境)」で動かすことです。この方式により、仮に端末がウイルス感染していても、moconaviの環境には影響が及びにくくなります。逆に、moconaviの中で問題が起きても、サンドボックスを切り離して対処できるため、ウイルス感染リスクに強いという構成となっています。
また、端末にデータを残さない設計のため、端末紛失時でも重要情報が外へ漏れにくい点も特長です。さらに内部脅威として多い「情報の持ち出し」に対しても、ポリシー設定によりスクリーンキャプチャ、コピー&ペースト、ダウンロード等を制御、抑止できます。

セキュアブラウザ「mocochro」の特長
PC向けには「mocochro(モコクロ)」という高機能なセキュアブラウザを提供しています。これはChromiumをベースにしており、ChromeやEdgeに近い操作性を実現しています。

セキュリティ機能としては、ウォーターマーク表示、URL入力欄やブックマーク利用の制御、ダウンロードファイルの無害化などを備えています。画面撮影などが起きても追跡しやすくするしかけとして、誰の端末かを表示できる点もポイントです。

また、mocochroには、Officeファイルを編集する機能が2通りあります。1つはブラウザ上でWord/Excel/PowerPointをダウンロードせずに編集する方法。もう1つは、端末にインストールされたOfficeをサンドボックス内に閉じ込めて使う方法です。
後者では、端末ローカルに保存せず、学校内ファイルサーバーやOneDriveなど連携したストレージに保存することもできます。結果として、自宅PCから編集してもデータが端末に残りにくくなり、利便性と安全性を両立できます。

スマートフォン向けにもセキュアブラウザがあり、グループウェア、勤怠管理、ワークフローなど、Webサービスであれば多くを安全に閲覧・操作できます。

さらに、メール・カレンダー・クラウド電話帳・ビジネスチャット・ファイルサービスなど、複数のクライアントを持ち、Microsoft 365やGoogle Workspace、Garoon等とAPI連携して、同じUIで利用できる点も特長です。
ゼロトラストなネットワークサービス
moconaviは、アクセス形態が変わってもクラウド上のポリシーで同じように制御できる、いわゆるゼロトラストの考え方にも対応しています。加えて、リモートデスクトップもスマホ・タブレット・Windows・Macなどマルチデバイスに対応し、VPN不要で利用できます。


端末管理の領域では、AEM(Autonomous Endpoint Management)として、Windowsのアップデート状況やパッチ配布、ポリシーの一括変更などを行える管理画面・ダッシュボードも備えています。オプションでアンチウイルスやEDRにも対応し、リアルタイムの脆弱性情報(CVE)を生成AIで翻訳して把握できるといった機能もあります。

校務クラウドとゼロトラスト
ここから話題を校務クラウドとゼロトラストに移します。学校現場では、過去のガイドラインに沿ってネットワークを「学習系」と「校務系」で分離しているケースが多く、ネットワーク分離が96%という調査結果も出ています。

これにより「校務系で教材が作れない」「学校に来ないと校務ができない」「クラウドがバラバラで煩雑」といった課題が見受けられます。こうした細かいことの積み重ねが、教育の時間を奪っているのです。
moconaviの「ゼロトラストカバレッジ」
校務DXにはゼロトラストが欠かせないのは当然のこと。文科省が示すゼロトラストの要素技術(多要素認証、Webフィルタリング、MDM、アンチウイルス、EDR等)に対しては、moconaviシリーズで主要部分をカバーできます。

ネットワーク分離が残る環境でも、すぐにクラウド利用やリモートアクセスを実現する選択肢として「Bridgeサーバー」があります。校内LANとインターネット系の両方に接続できる(LANポートが2つある)構成で、moconavi経由に限定して通信を通すことで、分離環境でもクラウドサービスへ抜けられるようにする考え方です。

また、校外から校内PCへリモートアクセスする場合にも、Bridgeサーバーを入れることで「必要な通信だけ通す」形で、既存資産を活かしつつ安全な遠隔操作を可能にします。
これを機に興味を持っていただけた場合は、ぜひトライアルにお申し込みください。トライアル専任のチームが丁寧に伴走し、安心してお使いいただけることを約束します。
LINEヤフーが支える学校・保護者連絡DXと情報モラル教育
第3部に登壇したのは、LINEヤフー株式会社の尾勢瑛美氏と一般財団法人LINEみらい財団の西尾勇気氏。無料から利用できる「LINEスクール連絡帳」や情報モラル教材「GIGAワークブック」の特徴について伺いました。

【講師】
尾勢 瑛美 氏
LINEヤフー株式会社
コーポレートビジネスドメイン経営企画・事業開発SBU事業開発ユニット教育事業開発ディビジョン
保育士として現場を経験したのち、保育業界にて保育園向けのサービスのセールス、事業企画業務に従事。LINE株式会社(現:LINEヤフー株式会社)に入社後、教育チームに参画し、セールス・事業企画を担当。

【講師】
西尾 勇気 氏
一般財団法人LINEみらい財団
事務局長
ヤフー株式会社で法人営業・セミナー企画、新規事業に従事。2010年よりLINEグループでPR・CSRを担当し、2019年にLINEみらい財団設立をリード。青少年ICT教育を推進。
LINEスクール連絡帳とは
「LINEスクール連絡帳」は、LINEヤフー(LINE公式アカウント)と、エースチャイルド社の「つながる連絡」を連携した学校・保護者連絡システムです。LINEアプリの国内月間アクティブユーザーは9900万人規模で、LINE公式アカウントは全国8割の自治体で活用されているという前提があります。
2025年1月に正式リリースされたばかりですが、利用校は伸びており、2025年8月時点の利用件数は300校超え、先生や保護者の方々からも好評をいただいています。

ここからは、LINEヤフーが独自に実施した調査をもとに、学校と保護者間の連絡の現状と課題を整理します。調査は名古屋大学の内田良教授の監修のもと、全国の小・中学校の教員・保護者あわせて約4000名の回答をもとに作成したものです。
学校と保護者の連絡手段は、GIGAスクールを背景にデジタル化が進んできました。文科省が2022年に実施した調査では、政令市の80%、市区町村の56.3%が「連絡手段をデジタル化した」と回答しています。
ただし別の調査を見ると、実態はもう少し厳しいことがわかります。デジタル庁の調査(2024年12月更新)では、欠席・遅刻・早退連絡を「完全にデジタル化している」と回答した学校は45%です。さらにLINEヤフーが2024年に実施した調査では、学校と保護者の連絡業務のデジタル化率は、保護者調査で46%、教員調査で41%という結果になっています。
つまり、システム導入自体は進んだとしても、現場レベルでの浸透はまだ道半ばで、十分に活用しきれていない可能性があるということです。

デジタル化の希望と実態のギャップ
次に、連絡内容別に「現状デジタル化できているか」と「今後デジタル化したいか」の差分を見たところ、教員・保護者ともにギャップが大きいことが示されています。資料では、遅刻・欠席連絡のように比較的デジタル化が進んでいる項目でも、教員側は現状55%に対して希望74%と、約19ポイントの乖離があることがわかります。
また、面談の日程調整、教材等の購入連絡、個別連絡など、保護者側のリアクションが必要な業務ほど乖離が大きい点も指摘されています。

現状を可視化する「学校DX診断」
では、どうすれば良いのか。まず大切なのは「現状を可視化する」ことです。そこで活用できるのが2025年6月にデジタル庁が策定した「教育DXロードマップ」の「12のやめることリスト(デジタルに変えることリスト)」から、保護者連絡に関わる項目を抜粋した「学校DX診断」です。紙のお便り配布、紙アンケート、紙調査票の配布・回収、電話や書面による日程調整、学校徴収金の現金徴収などが並び、現状に○×を付けながら、優先順位をつけて整理できるようになっています。

ぜひ、この棚卸しを行い、「今できていること」「優先度高くDX化したいこと」を見える形にしてから、具体的な施策やツール選定に進んでください。
LINEスクール連絡帳でできること
また、LINEスクール連絡帳の機能についても紹介します。緑色が無料のフリープラン、オレンジ色が有料のベーシックプランでできるものです。

フリープランでも、欠席・遅刻・早退連絡、災害連絡/安否確認、アンケート、おたより配信、掲示板など、日常的に負担になりやすい連絡業務をカバーできます。
有料のベーシックプランでは、面談の日程調整や資料提出といった「リアクションが必要な業務」の支援が入り、未提出者への自動催促なども想定されています。加えてオプションとして、校務支援システム連携(出欠・名簿連携)や集金機能(学校徴収金の回収)も用意されています。
LINEならではの強み
LINEの強みとして挙げられるのは、初期登録が簡単で、保護者への操作説明がほとんど不要な点です。他アプリのようにID/パスワード設定や再ログインが必要になりがちなのに対し、LINEなら学校別のLINE公式アカウントを友だち追加し、再ログイン不要で進められます。

また、即時性・反応率の高さも特徴です。メッセージは「その日のうちに約8割が読まれる」傾向があり、平均開封率はメールの約3倍、クリック率はメールの約1.2倍というデータもあります。

また、「グループLINEのように保護者同士の情報が見えるのでは」「先生が個人のLINEを使うのでは」といった不安の声が聞こえることもありますが、教職員は専用の管理画面から操作し、保護者のユーザー名やアイコンは教員側に表示されない設計なので、ご安心ください。

保護者・教員ともに高い評価
導入自治体への利用アンケートでは、初期登録が「簡単だった」が98%、お便りやプリントが「受け取りやすく見逃しにくくなった」が83%という結果もあります。教員側でも「紙の削減や、プリントが保護者に行き渡らないことの防止につながっている」と90%が回答しています。
また、教育委員会文書を保護者へ直接配信することで学校の負担が軽減されたかという問いには、保護者・教員ともになんと100%が「そう思う」と答えています。

千葉県野田市では市内全33校がすでに導入しており、教育委員会からの直接配信により現場負担が軽減されたこと、災害時の安否確認のしやすさも評価ポイントの一つとして挙げられています。
情報モラル教育「GIGAワークブック」
続いて紹介したいサービスが、情報モラル教育の教材「GIGAワークブック」です。
GIGAワークブックは、身近なシチュエーションを題材にワーク形式で学び、ネットの特性や問題を理解しながら、子どもが主体的に考える力を育てる「活用型情報モラル教材」。PDFで提供され、端末での利用だけでなく印刷して使うこともでき、無償で利用可能です。授業は45分だけでなく15分でも実施できるよう設計され、発達段階に応じた3つの教材が用意されている点も特徴です。

提供開始から3年目を迎え、多くの自治体様や学校に活用していただいています。情報モラルが学べることはもちろん、今後の日本をつくっていく子どもたちに上手な情報活用を知ってもらえる教材「GIGAワークブック」、ぜひご利用ください。
教職員課×教育研修課が仕掛ける校務DX
第4部に登壇したのは、枚方市教育委員会事務局の角政人氏と上田泰丈氏。令和6年度に枚方市が独自で取り組んだ校務生成AI実証事業の詳細や、令和7年度の校務における生成AI活用について解説していただきました。

【講師】
角 政人 氏
枚方市教育委員会事務局
学校教育部 教職員課 主幹
令和2~3年度:枚方市立第三中学校 教頭 令和4年4月~:枚方市教育委員会事務局 学校教育部 教職員課に配属(令和7年4月より「学校における働き方改革」担当)

【講師】
上田 泰丈 氏
枚方市教育委員会事務局
学校教育部 教育研修課 主幹
令和3年~令和6年:枚方市立東香里小学校 教頭 学校現場におけるICT活用や生成AIの活用、PBLの推進に取り組んできた。 令和5年~令和6年:枚方市における1人1台端末の更新に係る「ネクスト・ギガ・リプレイス意見聴取会」委員 令和7年4月~:枚方市教育委員会事務局 学校教育部 教育研修課ICT推進係に配属
枚方市の働き方改革の全体像
枚方市では、学校における働き方改革の取り組みを「笑顔の学校プロジェクト」として進めています。キーワードは「教職員が元気な学校は、子どもたちも元気な学校」です。働き方を見直し、教職員一人ひとりの心身の健康を守り、誇りややりがいを持って働ける状態をつくることで、子どもたちに対して効果的で充実した教育活動につなげることを目指しています。
当市の働き方改革は、令和元年度に「業務改善推進校」10校を立候補制で募り、モデル校とともにスタートしました。手を上げる学校は、当然「本気で進めたい」という意志を持っています。推進校には、市単費で業務アシスタントを配置することにしました。
ただし、目的はアシスタント配置ではありません。アシスタント配置をきっかけとして各校が主体的に業務改善を進めることをミッションとしました。そして成果を市内全体に発信し、広げていく設計にしています。

当市として大切にしてきたのは、市教委と学校がそれぞれ当事者意識を持って取り組むことです。従来の研究指定校の枠組みだと、指定校は盛り上がって成果が出るものの、市内全体へのスピーディな広がりは生まれにくいという課題がありました。そこで当市では、市教委が方向性を示しながら関わり、推進校同士がつながる仕組みをつくりました。
交流会+Google Classroomでの常時共有
この当時はギガスクール構想とコロナ禍が重なったこともあり年間で数回の対面の交流会に加え、推進校のGoogle Classroomなどを活用し、日常的に情報共有できる状態をつくる等工夫をしました。

各校の推進リーダーが取り組みをPDCAとしてまとめ、それが他校へ一気に広がっていく。まさに「学校の枠を超えたスピーディな情報共有」です。
「研修で終わらせない」ために話し合う
令和元年度~2年度は、外部講師を招き、公開研修やワークショップを実施しました。研修の場だけ気持ちが高まって、現場が動かない状態にはしたくなかったため、話し合うことを入口にしています。そのスタイルは「笑顔の学校」プロジェクトにおいても大切にする本市の取組の特徴です。

働き方改革は、組織として持続可能にする必要があります。そのためには、自分たちの働き方について話し合い、意見を出し合い、学校として決めて実行することが欠かせません。実際に、校内で話し合いが進んだことで「働き方改革が腑に落ちた学校ほど前に進む」という実感がありました。
学校ブログでの発信も増加
この頃から、推進リーダーを中心に、働き方改革の校内研修を自発的に行う学校が増えていきました。校内研修を実施し、その内容を学校ブログで地域・保護者へ発信する学校も出てきました。以前は、学校が働き方改革に取り組むことを地域に発信するのはタブーでは、という空気もありましたが、徐々に「取り組みを見せられる空気」へ変わってきたと捉えています。

枚方市立小学校44校の時間外勤務時間の実態として、月平均が平成30年の38:02から令和6年の24:45へ減少しています。80時間以上(過労死ライン相当)の割合も、平成30年の5.3%から令和6年の0.9%へ下がっています。

また、中学校19校でも、月平均は平成30年の56:16から令和6年の37:32へ減少し、80時間以上の割合は23.2%から6.9%へ下がっています。部活動の影響もあり小学校より課題は残るものの、改善傾向が見えているのは確かです。

さらに、推進校の一つをクローズアップしてみたところ、3年間で時間外勤務の分布が大きく変化し、勤務時間が多かった職員が「少ない時間帯」へ移っている様子も示されています。

ただ、働き方改革の目的は「時間短縮」そのものではありません。重要なのは、生まれた時間を有効活用し、教育の質の向上につなげることです。推進校の中には、教育の質の観点でも成果につなげている学校が複数ありました。
管理職の労務管理意識と労働安全衛生の視点
こうした取り組みを進める中で、鍵になるのは「管理職の労務管理意識の高さ」だと気づきました。そこで次に注目したのがストレスチェックです。ストレスチェックは個人のセルフチェックだけでなく、集団分析結果を組織改善につなげることが目的です。実際に、産業医であり労働安全衛生の研究の第一人者を招いた研修を行いました。
ストレスチェックの受検率が上がれば、次は「分析結果の見方を知りたい」というニーズが生まれ、校長会でのミニ講座の開催にもつながっています。

ストレスチェックを分析すると、仕事の要求度が高いのに裁量度が低く、サポートが少ない場合にストレスや健康障害が発生しやすいこと、否定的側面への対処を組織的に行い、負担の回避・軽減と、充実感・満足感を得やすくする工夫が重要である、といったことが見えてきました。
こうした集団分析結果の効果的な活用方法を知ることで管理職の労務管理意識は向上し、令和7年度前期のストレスチェック平均受検率は、なんと94.5%になりました。

こうした流れを受け、令和5年度から文科省の調査研究事業に参加しつつ、「笑顔の学校プロジェクト」がスタートしました。プロジェクトでは、各校が学校教育目標の実現に向けて、業務改善・労働安全衛生・ワークエンゲージメントの3つをバランスよく盛り込んだ計画を作成し、主体的に取り組んでいきます。
目指す方向は「働きがいと働きやすさの両立」「ワークライフバランスとウェルビーイングの向上」です。

笑顔の学校プロジェクトでは、毎年3回の交流研修会も実施しています。管理職同士、推進リーダー同士で交流し、他校の取り組みを学び合うことで横展開をスムーズにするねらいです。さらに各校から管理職とリーダーの2名が参加し、最後に同じ学校の2名で学びを振り返り、次の取り組み計画を立てる流れを設けています。これは研修を「その時だけ」で終わらせないための工夫です。
校務生成AI実証事業
ここからは当市の生成AIを活用した校務DXの取り組みも紹介します。枚方市では、令和6年度に、希望する小・中学校10校で「校務生成AI実証事業」を実施しました。目的は事務作業の負担軽減や業務効率化の可能性を検証することです。削減された時間を、子どもに費やす時間の増加や、教職員が学ぶ時間の増加へつなげ、授業・学級の業務の質を高め、学校運営を推進することをねらいました。
校内研修では文部科学省初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドラインを紹介し、挨拶文作成や画像のテキスト化など、まず体験してみることを入口に研修を行いました。実際、プロンプトを入れてみないと活用イメージが湧かないため、各学校では、体験型の研修を実施することが多かったように感じます。

また、定期的にオンラインで情報共有し、他校の研修内容を知り、自校にすぐ取り入れられるようにした点も特徴です。年度末には事例集を作成し、ポータルサイトから約90の事例を閲覧できる形にしました。事例はステップ1〜3+αに分類し、段階的に活用を深められる構成です。

たとえばステップ1では、国語の物語文を生成AIに読み込ませて発問についての回答を考えてもらい、生成AIが出した回答と児童の考えを比較して学びを深める取組があります。

そのほかにも、外国にルーツのある児童生徒や保護者への翻訳活用、振り返り記述の傾向分析、保護者配付文書の作成支援などに活用されました。
ステップ2では、指導計画の前段階として大まかな流れを生成AIに整理させ、ゼロから考える負担を減らした事例があります。
さらにステップ3では、教材文を読み込ませた問題作成、プレゼン評価のルーブリック作成のたたき台づくりなど、アイデアだし・設計支援の活用が挙げられています。

利用前後に教職員アンケートを実施しました。利用前の調査では、生成AIの認知度に関して、「言葉は聞いたことがあるが内容は知らない」と回答した教職員が56.3%、「校務で使ったことがない」と回答した教職員が67%と、スタート時点では生成AIについて未経験者が多いことが分かりました。
一方で、業務効率化の実感をもった教職員は79.3%、今後への期待を感じた教職員は61.9%と、肯定的な反応も大きな結果でした。教職員の声としては「校務文書作成が思った以上に早くなった」という声がある一方、「活用場面が思いつかない」「研修や実践例の共有があるとより活用できる」「リテラシー向上が必要」といった課題も挙がっています。

さらに、校務文書作成・事務作業が1日40分→24分(16分短縮)、授業準備が50分→20分(30分短縮)という変化も見られました。

教職員課×教育研修課の連携で推進力を上げる
最後に強調したいのは、教職員課と教育研修課が課を超えて連携することの重要性です。業務負担軽減と教育の質向上を両立するには、働き方改革と校務DXを一体的に進める必要があると、強く感じています。
私たちが目指すのは、単なる効率化ではありません。創出された時間を子どもたちの学びに還元し、教育の質を高めることです。課を横断してそれぞれの強みを掛け合わせ、推進力を加速させながら、今後も校務の効率化と教育の質向上に取り組んでいきます。
成功する教育DXの秘訣!業務改革とシステム導入の鉄則
第5部に登壇したのは、learningBOX株式会社の大谷智朗氏。eラーニングシステムを使った業務改善のヒントを学ぶとともに、「learningBOX」の特徴について伺いました

【講師】
大谷 智朗 氏
learningBOX株式会社
企画部 部長/PdM
教材編集やDTP等のコンテンツ制作を経て、UI/UXデザイナー・統括として活動。現在、マーケティングおよびデザイン部門を統括、およびプロダクトマネジメントに従事。
研修を取り巻く変化
従来の集合研修は、時間や場所の制約、移動による交通トラブルなどのリスクもある一方で、内容が画一的になりがちなのが課題でした。さらに効果測定やフォローにも課題が残りやすい、という声をよく伺います。
一方で研修ニーズは「階層別」「個別対応」「高度な知識・スキル」「多拠点」「外国人材対応」など多様化を極めています。まさに、従来型のやり方だけでは、ニーズに追いつきにくい状況です。

研修に求められる4つ
現在の研修には、大きく4つのポイント「多様化」「公平性」「個別化」「高度化」が求められていると感じます。

まさに、研修を取り巻く環境は大きく変化しているのです。
あらゆるニーズに対応する「eラーニング」
そこで、eラーニングの出番です。学習機会を広げ、一人ひとりのペースで進められ、研修コストの最適化にもつながる。さらに、紙と違って最新情報へ即時に更新できる点もeラーニングの強みです。
ここで強調したいのは、eラーニングシステムは「多様な教材配信」「学習管理・進捗可視化」「コミュニケーション」「効果測定」など機能を備えた“ツール”ではあるものの、位置づけとしては戦略を支えるプラットフォームだという点です。

システム導入そのものが目的になると、うまくいきません。目的は「戦略の実現」です。どんな課題を解決したいのか、どんな状態を目指すのかを先に置き、その上でシステムを選ぶ。この順番が重要だと考えています。
成功を左右する3要素
私がインタビューを通じて感じている「成功のポイント」は、eラーニングシステム×教育設計×情熱の掛け算です。

システム面では、必要な機能、使いやすさ、サポート体制。教育設計では、明確な学習目標、意図したコンテンツ、評価・フィードバック。ここまでは比較的設計できますが、最後に効いてくるのが「人の関与」、つまり動機づけや丁寧なサポート、継続的な改善に向けた情熱です。システムを入れただけではDXになったとは言い切れません。
eラーニング導入によるDX
DXの考え方として、私は「紙をデジタルに置き換えるだけでは正直うまくいかない」と考えています。DXは単なる置き換えではなく、“どこをデジタルに置き換えると本当に楽になるか”を見つけることがポイントなのです。
例えば、評価業務の負担が大きい「ルーブリック評価」。観点や評価レベルを設定する作業は手間がかかり、記述問題やレポート課題になるほど採点観点が増えます。そこで、AIを使って観点・評価レベルのたたき台を生成し、さらに観点別評価とフィードバックまでつなげる設計が有効だと考えています。
AI採点は「ブレるのでは」という懸念もありますが、人が採点してもブレやすい業務、ダブルチェックが必要な業務は現実にあります。そこでオススメなのは、AIを「自分の部下」としてマネジメントし、補佐させる発想で使うことです。


「learningBOX」でDXを一歩ずつ
最後に、当社サービス「learningBOX」を簡単に紹介します。当社は学習管理システムlearningBOXを開発・提供しており、企業研修、学校教育、検定試験、通信教育など幅広い領域で利用されています。教材形式も動画、PDF、アンケート、レポート課題、診断テストなど、eラーニングで必要になりやすい形式を一通り作成できる構成です。

また、AI活用機能として、テストやカードの生成、レポート分析・採点・評価、不正対策、ブラウザ監視なども備えています。

大切なのは、eラーニングシステムを使ってDXを「一歩ずつ」進めていくこと。ぜひ、その支援を私たちにさせてください。















